「曲げに強い光ファイバー」とは? | What is bend-insensitive fiber (BIF)?

なぜ指に電線のように巻き付けられる光ファイバーがある一方で、曲げると信号が失われるものがあるのですか?

光信号伝送を可能にする光ファイバーの物理的本質は、ファイバーコア(Core)とクラッド(Cladding)の界面で発生する**全反射(Total Internal Reflection)**メカニズムに依存しています。入射角が全反射臨界角$\theta_c$よりも大きい場合、電磁場エネルギーは損失なく導波構造(コア)内に閉じ込められ、伝播します。

曲げ時の信号挙動の違いは、**マクロベンド損失(Macrobending Loss)と内部の屈折率プロファイル設計(Refractive Index Profile)**によって決まります。

1. なぜ通常のシングルモードファイバーは曲げると信号を失うのか?

標準的なG.652Dシングルモードファイバーの場合:

  • 構造的特徴:コアとクラッドの屈折率差が比較的小さく、光場に対する束縛力は比較的穏やかです。
  • 損失メカニズム(マクロベンド損失):ファイバーが曲げられると、曲げ界面での導波路の幾何学的位置が偏向し、曲げ区間での光波の等価入射角が小さくなります。曲げ半径が小さい場合(例:$30\text{ mm}$未満、あるいは指に巻き付けるレベルの$10\text{ mm})、等価入射角は全反射臨界角\theta_c$よりも小さくなります。
  • 結果:本来コア内で全反射により伝播されるはずの光エネルギーが、コア界面を直接透過し、クラッドに漏れ出して放射モードに変換され、散逸します。これが、通常のファイバーが曲げられると、マクロベンド損失により信号が瞬時に中断する理由です。

2. なぜ「耐曲げファイバー」は電線のように指に巻き付けられるのか?

耐曲げファイバー(通常、ITU-T G.657規格に準拠した曲げ不感ファイバー、略称BIF)は、コンパクトな空間での配線ニーズを満たすために、ファイバー内部の屈折率構造を最適化することで、光場に対する物理的な束縛を大幅に強化しています。

  • 段差屈折率溝設計(Trench-Assisted Design):コアの外周のクラッド内に、超低屈折率の「段差溝」が人為的に設計されています。この溝は、効率的な物理的反射鏡のように機能し、光が比較的急な角度で境界に向かっても、段差溝が漏れ出そうとする光波を全反射してコアに再結合させます。
  • モードフィールド径(MFD)の縮小:屈折率差を調整することで、光場の基底モードエネルギーをコアの幾何学的中心にさらに集中させます。
  • 結果:G.657.A2 や G.657.B3 規格のファイバーであっても、極小半径(例:7.5\text{ mm}、さらには$5\text{ mm}$)まで曲げても、マクロベンドによる追加損失は無視できるほど小さくなり、電線のような物理的な指巻き性能を実現します。

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